ワックスドコットンのジャケット Barbour のオイルスキンから現在までの歩み
ワックスを使った綿の生地(ワックスドコットン)のジャケットには、英国の会社 Barbour が長く作り続けてきたものがあります。J. Barbour & Sons は、公式サイトの沿革のページで、1894年に船乗りや漁師のためのオイルスキンを扱うところから始まったと紹介しています。ここでは、その沿革と、再ワックスのサービスを説明する公式のページ(いずれも2026年10月13日に確認)をもとに、ワックスジャケットの歩みを整理します。俳優や著名人の着用の話と、手入れの細かな手順には触れません。
港町の店から始まったオイルスキン
沿革によると、スコットランド出身のジョン・バブアーは1894年、イングランド北東部のサウスシールズで商いを始め、数の増えていた船乗りや漁師たちが英国の荒れた天候から身を守るためのオイルスキンなどの衣類を扱いました。始まりの場所はサウスシールズの市場の広場で、130年以上たったいまも、5代目の家族経営の会社として北東イングランドにとどまっていると書かれています。沿革によると、1908年には2代目のマルコム・バブアーが最初の通信販売のカタログを作り、1917年にはそのカタログが商いの75%近くを占めるまでになりました。注文は、チリや南アフリカ、香港、フォークランド諸島といった遠い土地からも届いていたそうです。
オートバイ用のスーツと潜水艦の乗員の服
3代目のダンカン・バブアーは自らもオートバイに熱心に乗る人で、国際6日間トライアルという競技のために、つなぎ型のモーターサイクル用スーツを作り、競技の名前から International と名付けました。沿革によると、このスーツはすぐに広まり、1936年から、Barbour がオートバイ用の服から手を引いた1977年まで、英国の国際チームのほぼすべてが身に着けていました。ダンカンが戦争で呼ばれていくと、マルコムとダンカンの妻ナンシーが事業を引き受けます。1940年には、初期のU級潜水艦の一つアーシュラの艦長の頼みで、International のスーツを上下2つに分けた型を作り、暖かく着心地がよく天候に強いこの「アーシュラ・スーツ」は、潜水艦部隊の標準の装備になったと書かれています。1947年には、International のジャケットが一般の人のオートバイ用の上着として取り入れられました。このオートバイの歴史を受け継ぐ「Barbour International」は、2013年に独立したブランドになっています。
ビデイルとビューフォート、2つのワックスジャケット
沿革の年表によると、1968年にジョン・バブアーが急に亡くなり、妻のマーガレットがすぐに取締役に加わって、1973年には会長に就いています。1980年には、マーガレットが乗馬のための軽い丈の短いジャケット「ビデイル(Bedale)」をデザインしました。とげの多い茂みでも破れにくい生地を使ったものとして紹介されています。1981年には、サウスシールズのシモンサイドにある新しい工場へ移り、会社はいまもその地にあります。1983年には、やはりマーガレットがデザインしたワックスジャケット「ビューフォート(Beaufort)」が初めて品ぞろえに加わりました。もとは田園での屋外の楽しみのために作られた上着で、背中の幅いっぱいに付いた大きなポケットは新聞や小さな買い物を入れるのに使われ、いまは町でも田園でも着られていると沿革は書いています。シモンサイドの本社には工場もあり、ビデイルとビューフォートのワックスジャケットはいまも手作業で作られていて、持ち主から預かったジャケットの再ワックスや修理もそこで手で行っていると紹介されています。
1921年から続く再ワックスと修理
公式の「Wax for Life」のページによると、再ワックスと修理のサービスは、1921年にマルコム・バブアーが始めたものです。沿革も、1921年のカタログに再ワックスと修理が初めて載り、2021年にそこから100年を迎えたとしています。年表の2020年の項目には、再ワックス、修理、Re-Loved、My Barbour といったワックスにかかわるサービスをまとめる名前として、「Wax for Life」を打ち出したことが載っています。2019年の項目にある Re-Loved は、古いジャケットを返すと新しいジャケットに使えるバウチャーと引き換えになり、引き取ったジャケットは捨てずに洗って再ワックスと修理をし、次の持ち主へ渡す仕組みです。米国向けの再ワックスと修理のページは、着る頻度に応じて、年に1度の再ワックスを勧めています。このサービスの対象は Barbour のワックスドコットンの服だけで、再ワックスをすると、はじめのうちは色が濃くなってつやが出るなど、見た目が変わることがあると書かれています。傷みが大きすぎるものや、決められた期間内に作業を終えられないものなど、直せない品もあるとしています。生地の重さについて、公式のページは、定番の6オンスのワックスを昔からある重さの一つとし、軽いタイプはその約75%の重さだと説明しています。Wax for Life のページには、家で手入れをするための道具と、手順の案内へのリンクもあります。
まとめ
Barbour の沿革をたどると、船乗りや漁師のためのオイルスキンから始まり、オートバイ用のスーツや潜水艦の乗員の服を経て、1980年代のビデイルとビューフォートにつながっていることが分かります。1921年のカタログから続く再ワックスと修理は、いまは Wax for Life という名前でまとめられています。ワックスの手入れの方法やサービスを受けられる条件は、公式の案内で確かめてください。
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参考にした資料
各ページの内容は、2026年10月13日に確かめたものです。